2010年7月25日日曜日

ソングライターとしてのブラームス

  ブラームスは、19世紀ロマン派の保守的な作曲家の代表として知られて います。ブラームスの楽曲は、均整が取れていてよく構成されており、これらの点において古典派からの正統な伝統を受け継いでいるといってよいでしょう。し かし、これらの点は、ワーグナー等の作品と比べると、「自由さがない」「色彩感がない」「ロマンティックではない」という評価にもつながっています。
  私は、ブラームスの楽曲を交響曲や室内楽から知っていったのですが、どちらかといえば「パッとしない」楽曲だと感じていて、頭の中でブラームスを「2級」の作曲家の枠に入れていました。

   私の中で、その評価が変わったのは、ブラームスの歌曲を知りだしてからです。ピアノ曲の中にも、とても美しいものがありますが、ブラームスの歌曲は、ロ マン派時代に作られたどの作品にも匹敵するだけの「ロマンティックさ」をもったものが多いのです。彼の歌曲を知るにつれ、私はブラームスが、なぜもっと器 楽曲や大規模な曲に、歌曲の中にあるようなロマンティックさを入れなかったのか?と疑問に思うようになりました。もし、ブラームスが交響詩を書いていた ら、このジャンルの傑作を書いたことに間違いはないと思います。そして、その作品は、「神話」や「歴史」などを巻き込んだ大きなものではなく、とても個人 的で内から湧き出るような美しい作品になったのではないでしょうか。ブラームスの作品を聞くたびに、残念でなりません。









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